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2020.08.31

編集部

ディープ・エコロジーを社会で展開するためのワークブック『カミング・バック・トゥ・ライフ―生命への回帰』刊行

カミング・バック・トゥ・ライフ―生命への回帰

~つながりを取り戻すワークの手引き~

ジョアンナ・メイシ―/モリー・ヤング・ブラウン[著]

齊藤由香[訳]

購入は≪こちら≫

新刊のお知らせです。

ディープ・エコロジーの本の出版です。

 

米国の仏教哲学者、環境哲学者、社会活動家であるジョアンナ・メイシーが培ってきた、「つながりを取り戻すワーク」の理論と実践の集大成。成長指向型産業社会から生命が生命持続型社会への大転換のためのワークブック。

 9月10日に刊行します。アマゾンでも発売開始です。

 

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今日、多くの人びとがそれぞれの苦悩や疎外感に取り組む一方で、私たちは誰もが貧困、人口過剰、環境破壊といった地球規模の問題に直面しています。こうした問題については、ともに取り組まなければなりません。いかなるコミュニティあるいは国家であっても、自分たちだけの力でこれらの問題を解決することはもはや不可能です。(中略)ジョアンナ・メイシーとモリー・ヤング・ブラウンによるこの本は、彼女たち自身が、公私にわたってプラクティスを実践してきた経験から導き出した助言の宝庫です。(中略)この本の価値をただ認めるだけでなく、ここに書かれていることを実践すべく、すべての生きとし生けるもの、そして私たちの唯一の家であるこの地球のために、行動を起こしていただけることを願っています。

――ダライ・ラマ14世(本書より)

 

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ディープ・エコロジーとジョアンナ・メイシー

 ジョアンナ・メイシー氏は、ディープ・エコロジーの活動家、思想の実践者として知られている。

 ディープ・エコロジーとは、一言でいえば、人間中心に地球のことを考えるのをやめて、生命全体を考えようという思想(ざっくりしすぎだろうか)で、もともとは、1973年にノルウェーの哲学者のアルネ・ネスによって、提唱され、名づけられたもの。

 

 エコロジーというと「汚染と資源枯渇に反対する」という建てつけだったが、それは浅いエコロジー。浅いエコロジー(シャロウ・エコロジー)は、人間が利用する地球資源が枯渇したり汚染されたりするのは困る、これからも末永く人間が利用できるように、地球環境をケアしていこう、という思想で、「先進諸国に住む人々の健康と繁栄」を目標とするばかり。つまり、近代以降の人類の営み(といっても西洋文明が世界を蹂躙していく過程ではある)の文脈に沿ったエコロジーでは、地球環境を搾取するという根本的な態度は変わらず、よろしくない。必要なのは深いエコロジーだ、ということで登場したのが、ディープ・エコロジーだ。

 

 深いエコロジー(ディープ・エコロジー)は、地球丸ごとの生命が大切で、人類はその中の一部という自覚を持たなくてはならない。なぜなら、人類を含めすべての生命は、単独で生きられるということはありえず、他の生命と相互に連関する中で存在しているから。人類が自らの来し方行く末を反省し、地球環境、生命を守っていこう、再生していこう、そしてそのための知恵やツールは先住民など近代化する以前の人類文化の中に叡智としてあった、という思想。

 

(以上の参考文献:「ディープ・エコロジーと自然観の変革」森岡正博http://www.lifestudies.org/jp/deep01.htm)

 

 環境問題を解決するには、ディープ・エコロジーでなくっちゃね、というのが、70年代以降の考え方で、カウンターカルチャーからの流れで起きたニューエイジ思想とも結びつき、現在の潮流となっている、というのが大づかみの枠組みとしてある。

 その中で活動の中心的な役割を果たしてきたのが、今回の本の著者ジョアンナ・メイシー氏ということになる。環境活動家として、多くの人に影響を与えてたが、日本でその筆頭に上がるのは、本書に解説を寄せてもらった、中野民夫氏(東京工業大学教授)。

 中野さんとメイシー氏との出会いのインパクトや、その後の中野さんの活動にどれほど影響を与えているか、ということはぜひ本書巻末を読んでいただきたいが、中野さんの原稿の中で、私にとって発見だったのは、ティク・ナット・ハンが日本に紹介されて、その実践が日本でも静かに広まっていったのと、パラレルの関係にあったということだ。どちらともその紹介者が中野民夫さんということもあるが、思想的にも実践としても、とても深くリンクしているように思う。

 ティク・ナット・ハン師とその活動が日本で知られ実践されているように、ジョアンナ・メイシー氏の活動も広く知られ、広範な社会運動にまで展開していくととても面白い世の中になるのではないかという気がする。

著者のジョアンナ・メイシー。本書はジョアンナの盟友のモリー・ヤング・ブラウンとの共著

 

ディープ・エコロジー×システム理論×仏教

 ジョアンナ・メイシー氏の三本柱が本書の中で語られている。

それはディープエコロジーと、システム理論と、仏教。

古代の人類の智慧を現代に生かし、人類がその在り方を改めていくには、根本的な価値観を近代型の成長志向から切り替えなくてはならないし、コミュニティの再生も必要だし、全ては相互の関係で成り立っているという仏教の縁起の洞察を、基本的な認識として身につけていなくてはならない……。

仏教の社会への展開という点からも、環境問題とのリンク注目が当たるのは、良いと思う。

 

 昨年(2019年)の国連気候行動サミットで話題となったグレタ・トゥーンベリさんは世界の環境問題のアイコンになった。ジョアンナ・メイシーと関係を持っているかはわかりませんが、海外の記事ではグレタさんとジョアンナを並べて語っている。日本ではそこに仏教を並べてもいいかもしれない。

 

 地球の未来を考える世界的な潮流のただなかに、ジョアンナたちの活動はあり、また本書もある。ぜひご一読を。

 

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刊行記念イベントと特設サイト

訳者の齊藤由香さんたちによる本書の特設サイトが開設されています。

『カミング・バック・トゥ・ライフ ― 生命への回帰』公式サイト

 

 9月5日土曜日の9時から、ジョアンナ・メイシー氏が登場する、刊行記念イベントも開かれます。どうぞご注目ください。

出版記念イベント&ワークショップ

 

訳者の齊藤由香さんによる『カミング・バック・トゥ・ライフ ー 生命への回帰』紹介ムービー