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2017.06.16

編集部

マインドフルネスの源流にあるカウンターカルチャー

マインドフルネスのルーツにいるラム・ダス

前回からの続きです。
そういう、マインドフルネスを受容して消費しようとしている昨今のマインドフルネスブームなのですが、その源流にあるのが、60年代のカウンターカルチャーにある、ということは、『別冊3マインドフルネス』で詳解をしています。

その源流にあって最重要なキーパーソンが、ラム・ダスです。
マインドフルネスの源流にあって、ジャック・コーンフィールドやリチャード・デイヴィッドソンなどと交流し、影響を与えていました。

今も健在で、ハワイを拠点にリトリートも開催しています。コーンフィールドなども講師を務めているようです。

ラム・ダスの公式サイトはこちら。

Love Serve Remember Foundation – Ram Dass

 

カウンターカルチャーやドラッグカルチャーの文脈で語られるラム・ダスですが、まさに70年代のニューエイジを生み出した一人です。
ラム・ダスは本名をリチャード・アルパートといって、ハーバード大学の教授をしていた当時、精神展開薬(サイケデリックス)の研究を始めて、大学を追われます。
その後、精神的な旅を経たラム・ダスが1971年に発表した『ビー・ヒア・ナウ』は、熱狂的に読まれ、スティーブ・ジョブズやマーク・ザッカーバーグが影響を受けたことで近年は有名ですね。
ドラッグを通してですが、意識変容の価値を彼は提示し、それはアメリカ社会を変えたといっていいでしょう。シリコンバレーのIT企業はその申し子です。古い本ですが、そうした事情は『サイベリア:デジタル・アンダーグラウンドの現在形』(ダグラス・ラシュコフ[著]/大森望[訳]、アスキー刊)という本に詳しいです。

これは「サイケデリック」と「ベイエリア」をあわせた造語ですが、まさにシリコンバレーの成り立ちを表す言葉なのでしょう。

ちなみにサイケデリックスについて詳しく知りたい方は、『精神の星座:ない宇宙飛行士の迷走録』(蛭川立[著]、サンガ刊)をお読みください。

 

ラム・ダスは『覚醒への旅』という本で、精神的なマスターの言葉を数多く紹介しています。意識変容の伝統は、ヒッピーカルチャーが生み出したものではなく、人類の伝統として古くからあるものであることが、具体的な先人の言葉を通して語られます。
その中には鈴木俊隆老師の言葉も多数紹介されています。

これは「精神の旅」に足を踏み出したものに向けて、そのルーツを、よって立つべき足場を提供するような本です。
日本版ではカットされていますが、アメリカの原著には全米の瞑想センターのリストがあり、自分の足で探求することを求める、その為の本であり、それがラム・ダスの思想の真骨頂ではないかと思うのです。

Journey of Awakening: A Meditator’s Guidebook 

ちなみに、この本の編集者は『EQ 心の知能指数』でおなじみのダニエル・ゴールマンです。

 

ラム・ダス+スティーブン・レヴァイン『覚醒への糧』2013年版を刊行

 

そんなラム・ダスが、ビー・ヒア・ナウの6年後に発表したのが、『覚醒への糧』です。2013年に改訂された版を、今年の5月に出版しました。

覚醒への糧 商品画像

『覚醒への糧:心の探求のみちしるべ』(ラム・ダス+スティーブン・レヴァイン[著]/大島陽子[訳])

 

この本の初版が発表された当時、ラム・ダスはスターであり、時代のアイコンでした。時代の渦中を生きたラム・ダスが見出した、精神の修行のあり方を、この本では語っています。それは、ドラッグによってハイになることではありませんでした。

<一九六〇年代、私たちはおそらく、意識がハイになれば自由になれるという期待を抱いていた。それは、人間の執着や渇愛の深さに対してあまり現実的とはいえない態度だった。>
本書の中で、ラム・ダスはそう総括しています。意識変容の旅をへたラム・ダスはヒンドゥーや仏教を学んでいきます。マハラジというグルに帰依をしているので、彼をヒンドゥー教徒としてのみ見る人もいますが、本書を読めば彼が深く仏教を勉強していることがわかると思います。そうして心への洞察を深めた彼の得た知見が本書にはちりばめられています。

そして本書がテーマとするのは、

<人生で私たちの前に現れるいかなるものも、スピリチュアルな道を歩むための糧として用いるということ>

そのためのヒントを、ラム・ダスが身を挺して示しているのが本書といえるでしょう。

 

ラム・ダスを知るイベントの開催

本書の翻訳者による、イベントが東京・下北沢の気流舎で、6月23日(金)の夜にあります。翻訳者の大島陽子さんと、片山邦雄さん(ラム・ダスが編纂した『愛という奇蹟』を大島さん共訳)を囲んで、ラム・ダスを話します。
ラム・ダスとは何者か、ラム・ダスの時代と今とのつながり、グリーフケアやターミナルケアの文脈で語られる存在となっている現在など、2000年代の一時期ラム・ダスの近くにいた2人の貴重な話が聞けると思います。

詳細は下記。

気流舎
【2017年6月23日19:00~】『覚醒への糧──心の探求の道しるべ──』(サンガ)出版記念トークイベント ラム・ダスとは? ──『ビー・ヒア・ナウ』と、60年代対抗文化・ニューエイジ運動への足跡 ──

http://www.kiryuusha.com/post/362

 

(編集 川島)