サラナ サラナ

 

ブラザー・サンライト 
プラムヴィレッジでの僧侶生活 〜戒律とマインドフルネスの日々〜第1回「私を本当の名前で呼んでください」
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連載第1回

私を本当の名前で呼んでください

 

自己紹介。「法名 ダルマネーム」について

 

はじめまして。

私の名前はブラザー・サンライトです。

タイ(プラムヴィレッジの私たちの師の愛称。ベトナム語で「先生」の意味)が開かれた僧院・プラムヴィレッジの僧侶です。プラムヴィレッジ四人目の日本人出家です。

 

現在私はタイ王国にある、タイ プラムヴィレッジで暮らしています。ここでは唯一の日本人です。ここには約200名の僧侶がいます。フランスのプラムヴィレッジは多国籍ですが、ここはほとんどがベトナム人です。

 

2019年 旧正月の初日の出。 in タイ プラムヴィレッジ。

 

 

いま現在プラムヴィレッジは世界各地(フランス、ドイツ、アメリカ、ベトナム、香港、タイランド、オーストラリア)に僧院があって、僧侶は全部で700名超います。ですから、私たち僧侶は法名(ダルマネーム)を英語・ベトナム語・漢字の三種類もいただきます。

 

これは一緒に出家した、私たちの出家ファミリーです。白いブッダの右隣が私です。

 

私の英語法名は The Sky of Sunlight、略してブラザー・サンライト。漢字法名は真天日光、ベトナム語法名はChan Troi Nhật Quang(チャン・チョイ・ニャッコワンと発音)です。

私以外の日本人僧侶は、フランスにおられるシスター・チャイと、シスター・マイデン。そして最近フランスからアメリカへ移られた、ブラザー徳本の三人です。三者それぞれベトナム語、ベトナム語、漢字の法名ですね。各自呼びやすい名を使っているようです。私は英語名のサンライトがお気に入りです。

ちなみにチャイの漢字は「齊」、マイデンは「梅田」。ですからシスター・マイデンのことを「梅田さん」、私のことを「日光さん」と呼ぶ人もいます(勿論日本の方で)。

ベトナムの方は私のことを「スーチュー・ニャッコワン」と呼びます。スーチューとは「沙弥」です。沙弥とは、出家三年以内の見習い僧のことです。日光はベトナム語では「ニャッコワン」と発音します。

どうぞ、お好きな名前で私を呼んでください。

左から「微笑みの風サンガ」の大類隆博(たかさん)、そしてシスター・チャイ、ブラザー徳本、シスター・マイデン、ウェブサンガの連載でもおなじみの神くみさん

 

 

わが師。「タイ」について

私たちは男性の先生のことを「タイ」と呼びます。ベトナム語です。

「沙弥=スーチュー」が三年以上修行して、ブッダの定めた「具足戒」(「波羅提木叉」とも言います)という250の戒律を授かると、正式な僧侶として「比丘=タイ」(つまり先生)と呼ばれるようになります。

ですから、プラムヴィレッジには「タイ」がたくさんいらっしゃいます。どれくらいいるかと言いますと……ここタイランドのプラムヴィレッジには約200名の僧侶がいますが、男性僧侶は100名弱。そのうち沙弥は今20名ほどなので、80名近くもの「タイ」がおられます。

これはベトナム語スピーカー達にとっては大変まぎらわしいので、彼らの間で私たちの師(漢字では「釈」ティク、「一行」ナットハン、と書きます)のことを、じつは「タイ」とは呼びません。「スオン」と呼んでいます。日本語で言うと、「老師」という感じでしょうか。私の頭の中では勝手に「僧翁」という漢字を当てていますけれど……。

先生(タイ)はたくさんいても、老師(僧翁スオン)は一人しかいない、ということです。

ちなみにこちらでベトナム人の僧侶に「タイがね…」と話しかけると、「どのタイよ!?」と言われますので、お気をつけて。

タイ プラムヴィレッジの沙弥・沙弥尼たち。昇るサンライトが私です。

 

 

タイと詩。「私を本当の名前で呼んでください」について

 

タイ(英語圏での私たちの師の愛称)の代表的な詩に『私を本当の名前で呼んでください』があります。とても美しく、かつおそるべき深い、慈悲の詩です。

けれども上に述べた名前の話からも分かるのは、「私を本当の名前で呼ぶ」のがいかに難しいか、ということでしょう。この詩でうたわれている内容も、要はそういう事だと思います。

あなたの今のお名前は、あなたの「本当の名前」ですか? もしかしたら……?

そんなこと、今まで考えた事があるでしょうか?

 

私の出家以前の名前は、宮下直樹です。小中学校の同級生たちはこぞって、こう言います。

「ブラザー・サンライトなんて絶対に呼びたくない」

「私たちといる時は、宮下君でいて!」

タイは英語名はお持ちでないけれど、漢字名はお持ちです。2つの名前を持つことは、中国文化の影響が大きかったベトナム仏教の伝統でした。

けれども、それらがタイの「本当の名前」なのか、どうか?

タイは最初に師匠からいただいた法名がご不満で、改名願いを出されたそうです。

「私を本当の名前で呼んで」ほしかったのでしょう。

師匠はしぶしぶその申し出をを受け入れたそうです。今では世界的に有名なあの御名前は、若かりし日のタイが、御自身で作り出された御名前でした。

 

いずれにせよ、私たちは「タイ」とお呼びしたり「スオン」とお呼びをして、決して師を「本当の名前」で呼ぶことなど、あり得ないのですが。

なぜでしょう?

それは「本当の名前」で師を呼ぶことを、私たちは戒律によって、戒められているからです。

これは詩の最後の部分です。素晴らしい全文をぜひお読みください。

(『ティク・ナット・ハン詩集 私の本当の名前を呼んでください』島田啓介訳、野草社)

 

 

リトリートのお知らせ

2019年5月8日〜10日。

私ブラザー・サンライトを含むプラムヴィレッジ僧侶団12名が、神奈川県にある曹洞宗大本山・總持寺にて、

「日本伝統仏教者のためのマインドフルリトリート~日本仏教とプラムヴィレッジの相互対話~」

を行います。共催してくださるのは、全日本仏教青年会。

2泊3日の私たちのリトリートを貫く全体テーマは、

「仏教における〈原点(オリジナル)のマインドフルネス〉」。

 

日本伝統仏教者のためのマインドフルリトリート

ゲストに藤田一照・蓑輪顕量 両先生をお迎えしての特別プログラムは

「日本仏教におけるマインドフルネス」

「仏教の戒律・サンガと、マインドフルネス」

についての、レクチャー&ディスカッションです。

 

總持寺の朝課に参加しながら、プラムヴィレッジの僧侶たちと一緒に瞑想し、学び、対話し、体験をしていく、2泊3日のリトリートです。

 

 

《日時》2019年5月8日〜10日    《会場》曹洞宗大本山總持寺

 

《特別プログラム・レクチャー》

 

①「道元の禅・無心のマインドフルネス ~その理論と実践~」

講師: 藤田一照 先生(前曹洞宗国際センター所長)

 

②「仏教における戒律の問題と、マインドフルネスの意義」

講師: 蓑輪顕量 先生(東京大学人文社会系研究科教授)

 

③「戒律、サンガ、マインドフルネス・トレーニング(気づきの練習)の密接な関係について」

講師: ブラザー・ファプチャック (プラムヴィレッジ・ダルマティーチャー)

 

⭐️「日本伝統仏教者のためのリトリート」です。参加者には僧侶の方が多いですが、仏教徒であるという意識のある在家の方々のご参加も可能です。是非一度ご連絡ください。

 

 お申し込み・お問い合わせ  →コチラ

 

本リトリートへの御参加のお申し込みを、心よりお待ちしています。

 

 

主催/全日本仏教青年会・プラムヴィレッジ招聘委員会

協力/曹洞宗大本山總持寺・公益財団法人仏教伝道協会


後援/世界仏教青年連盟(WFBY)

 

 

 

【プロフィール】

ブラザー・サンライト(俗名:宮下直樹 みやした・なおき)

1964年、富士山麓の古い神社の家系に生を受けるが、フジヤマ織りの会社を営む父の仕事で、大阪に生まれ育つ。大学で東京に出て、竹内敏晴、野口三千三と出会う。彼らの元で身心ワーク(竹内レッスン、野口体操)に開眼。仲間たちと独自の身心ワークの探求(虹の会)を開始。大学院(フランス文学研究科)での研究テーマは「リアリズムとは何か」。この頃、富士山麓の神社の宮司となる。その後、坐禅の本格修行に入って10年間、臨済宗の専門道場に通参。2012年8月、東京八王子のミニリトリート(東京サンガ主催)でプラムヴィレッジの「マインドフルネス」と出会う。2013年、ティク・ナット・ハン師を日本に招聘する活動を開始。その後、仲間たちと「微笑みの風サンガ☆東京」「プラムヴィレッジ招聘委員会」を立ち上げ、毎年「プラムヴィレッジ僧侶団マインドフルネス来日ツアー」を実現。2016年、2017年と、タイ プラムヴィレッジで「三ヶ月間出家プログラム」を二度体験後、正式出家して、沙弥となる。2019年4月末、「来日ツアー2019」でプラムヴィレッジの僧侶となって初来日する。

 

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私と世界を幸福で満たす食べ方・生き方怒り怖れ和解ブッダの幸せの瞑想【第二版】今このとき、すばらしいこのときティク・ナット・ハンのマインドフルの教え