Blog ブログ

2018.01.27

webサンガジャパン

「心の本質」にせまる 『ブッダの実践心理学』 その3

①物質の章〈六〉

(『ブッダの実践心理学 アビダンマ講義シリーズ 第一巻「物質の分析」』について)

ブッダの実践心理学 アビダンマ講義シリーズ 第一巻「物質の分析」 アルボムッレ・スマナサーラ/ 藤本晃[著](サンガ、2005 年)

 

初めにスマナサーラ長老が、アビダンマを学ぶ利得を語ります。
これは『アビダンマッタサンガハ』にはないものです。
自分と自分を取り巻く一見膨大に見える世界が、アビダンマの徹底分析の目で分解してみれば、

「なんだ、結局はこんなものか」

というほど、単純でちっぽけに見えます。

なにしろ世界中にあるのは物質と心だけで、それを離れたら涅槃というだけの単純さなのです。

心はその中身(心所)として煩悩などの52種や、禅定や悟りで種々に成長した心89種などに分けられ、物質も28種に分けられますが、それだけ分解してみると、

「これだけを把握しておけば自分と世界のすべての構造が分かる。あとはその場その場で適切に行動すればいいのだ」

と安心できます。安心できると、心の成長に向けてがんばる力も湧きます。アビダンマは学びによって心を育てるのです。
「実践心理学」という名前のとおり、仏教では心が最大の関心事なのですが、物質世界を無視しているわけではありません。それどころか、世界が心と物質の2種類だけででき上がっていることを熟知していた仏教では、物質のことも知り尽くして、解き明かしています。『ブッダの実践心理学』では、比較的理解しやすい、この物質の章を第一巻にしています。

 

『ブッダの実践心理学 アビダンマ講義シリーズ 第一巻「物質の分析」』

まず、物質はすべて地(固さと重さ=質量)水(引き寄せる力)火(熱=変化させる力)風(引き離す力)の四種類のエネルギーの組み合わせでできていると明らかにし、その組み合わせによって眼耳鼻舌身から成る身体もその対象たる外界も成り立っていると説明します。
仏教の物質の分析には、今日の生物学や化学、物理学以上の洞察があります。身体については男性物質と女性物質があるとか、外界については、食とは何かという定義、さらに、宇宙が一つ生まれてから死ぬまでを一劫と数える中で、宇宙の生滅を収縮宇宙と膨張宇宙が順番に生じると説いています。もちろん今の宇宙は、ビッグバンから生じ、やがて膨張しきって消滅するはずの膨張宇宙です。
宇宙が一度消滅してから次に宇宙が生まれるまで、とても長い、物質(宇宙)がない時期があります。
素粒子物理学や天文学の言葉もない時代に、よくも当時の言葉だけで説き明かしたものだと感心します。
物質の生じ方については、物質は物質だけを生じるのですが、心やその潜在力・業が物質を生じるとも説いています。この宇宙が生まれたり滅したりするのも、受胎した精子と卵子が誕生して生きて死ぬのも、物質の力にもよりますが、何よりも心と業の力によるのです。

 

文頭の①や②は、『ブッダの実践心理学』シリーズの巻数を示しています。章名の後の〈一〉や〈二〉が『アビダンマッタサンガハ』の章番号です。

 

(つづく)  バックナンバー その1 その2

 

サンガ通販サイトからのお知らせ

『ブッダの実践心理学』シリーズ購入はコチラ