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2019.10.30

コラム 編集部

アチャン・チャーとアーチャン・チャー

『無常の教え:エブリシング・アライゼズ エブリシング・フォールズ・アウェイ』刊行

サンガ文庫『無常の教え』(2019年10月26日発売)

 

みなさんこんにちわ。

10月の新刊として文庫版のアチャン・チャー長老の『無常の教え:エブリシング・アライゼズ エブリシング・フォールズ・アウェイ』を刊行しました。

 

 

これは2013年に単行本で、アーチャン・チャー[著]星飛雄馬[訳]『無常の教え:手放す生き方2苦しみの終焉』として刊行したものですが、品切れになったのを機に、文庫化したものです。

 

今回は帯にスマナサーラ長老からのご推薦をいただきました。

 

アチャン・チャー長老は仏教の体現者です。

深遠な真理を誰にでもわかる物語調で語られているので、

簡単に読めて、簡単に理解できて、読み終わると

読者の心も清らかになっているのです。

スリランカ初期仏教 アルボムッレ・スマナサーラ長老 推薦

 

推薦文全文(といっても長いものではないのですが)は、巻末に収録していますので、ぜひ手に取ってお読みください。

 

文庫には単行本の時は掲載していなかった、ジャック・コーンフィールドとラリー・ローゼンバーグの推薦の言葉も掲載しています。

 

本物の瞑想指導者による、素朴かつ誠実で、賢明な洞察に満たされた本だ。

 

ジャック・コーンフィールド

スピリット・ロック・インサイト・メディテーション・センター創設者

『A Path with Heart』著者

 

 

タイ森林派の僧侶による、シンプルかつ明晰で、深みのある、大変貴重な智慧の教えだ。

本書で述べられている無常の教えは、私たちに新鮮さや創造性を伝えるものであり、

それは仏教のあらゆる宗派の違いを乗り越え大いに役立つものであろう。

 

ラリー・ローゼンバーグ

ケンブリッジ・インサイト・メディテーション・センター創設者

『呼吸による癒し』著者

 

 

アチャン・チャー長老の写真も扉に掲載して、単行本よりより身近に親しみやすく長老の言葉をお届けできるのではないかと思います。

アチャン・チャー長老の言葉はどこを切り取ってもダンマです。

そのダンマの言葉を一か所だけご紹介しましょう。死に関する言葉です。

 

「子宮から生まれたわしらが、死を避けることができるじゃろうか? 本当の自己というものはないということを知ることなしに、死を避けることは、決してできない。「私」というのはそもそも概念に過ぎないので、死ぬことはない。実際にあるのは、その性質を保ちながら変化し続ける、行(saṅkhāraサンカーラ、縁起による現象)だけなんじゃ。」

(本書 p.223)

 

アチャン・チャー長老から語られるダンマの甘露をどうぞ味わってください。

 

* * * * *

 

アチャン・チャー長老 Photo:Thubten Yeshe

 

 さて、皆さん、すでにお気づきの方も多かろうと思います。単行本から、文庫本になって、基本的に変更はないのですが、大きく変わったことがあります。

お名前の表記です。

 

単行本では「アーチャン・チャー」でした。

文庫では「アチャン・チャー」です。

 

もともと、「アーチャン・チャー」という表記は、訳者の星飛雄馬さんが『手放す生き方』(2011年)を訳したときにいただいた表記です。本書は2年後に「手放す生き方2」をサブタイトルにつけて刊行したのですが、名前の表記は前作に引き続き「アーチャン・チャー」です。

 

その表記が「アチャン・チャー」という表記になったのは、『アチャン・チャー法話集』(出村佳子[訳])からです。

長老のお名前の表記を変えた理由にはいくつかあるのですが、見直すことになったそもそものきっかけは、アチャン・ニャーナラトー師へのインタビューでした。

イギリスにあるアチャン・チャー長老の系列の僧院「アマラワティ僧院」の副僧院長が日本人で、しかも日本に一時帰国されているとの情報を得て、師にコンタクトしてインタビューを師に奈良まで伺いました。2015年2月のことです。このインタビューは『サンガジャパンVol.20 これからの仏教』(2015年4月)に収録されています。

このインタビューの時、日本のテーラワーダ仏教文化がこれで一歩前に進むのではないかという期待がありました。私がサンガで編集をするにあたって、テーラワーダ仏教文化をもっと日本に紹介して豊かなものにしていきたいということがあります。東南アジアのテーラワーダ仏教文化圏から、ダンマとともに文化的な事柄も紹介していけたらと。

そしてそのために重要なのがお坊様の存在だろうと思っています。スマナサーラ長老が切り拓いた地平を押し広げていく鍵は、お坊様の存在だろうと。そのために『別冊サンガジャパン② タイ・ミャンマー人物名鑑』という、発想自体はバンドブームに乗った1980年代宝島の『ロッカーズカタログ』とほぼ変わらない本を作ったのです。

この本は、ほとんど日本で知られていない世界の(結果としてタイ・ミャンマーだけになりましたが)のテーラワーダ仏教のお坊さん(含む在家瞑想指導者)を一覧して紹介して、情報へのアクセスをよくしようと考えて制作しました。わりと自信をもって世に問う感じで出したのですが、売り上げ的には「サンガ負の遺産」リストの筆頭、殿堂入りです。

『別冊サンガジャパン② タイ・ミャンマー人物名鑑』

まあ、それはさておき、これを出版したのが2015年3月。ちょうどニャーナラトー師のインタビューに出来立てほやほやの本をもって、師に謹呈したのです。

そしていただいた言葉が、「タイではアーチャンとは発音しないですね。」と。ガーン。

直系の日本人のお弟子さんの言葉は重いです。

上記の『サンガジャパンVol.20』掲載のインタビューでは記事末に以下のような一文を載せました。

 

「日本ではこれまでアーチャン・チャーと表記されてきたが、ニャーナラトー師から、アチャンとするのが好ましいとのご指摘をいただき、本稿はアチャン・チャーと表記しています。」(p.211)

 

サンガでアーチャン・チャーの本を刊行したのは星飛雄馬さんに提案いただいたのが最初でした。星さんは「アーチャン」と表記されていたのですが、今回の『無常の教え』の文庫化から「アチャン」の表記にしました。

* * * * *

星さんのお話

2011年刊行の『手放す生き方』で「アーチャン」表記にしたのは、先行文献に準じたため。

2015年のニャーナラトー師インタビューで「アチャン」表記のほうが良いという話があり、

2016年刊行の出村さんの『法話集』でも「アチャン」になっていたため、今回改めました。

 

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他の言語の名前をカタカナでどのように表記するかは、それはそれで一つの研究分野になりそうな奥行きを持っていそうです。卑近なところでは、フロイトと言ったりフロイドといったり、ハクスリーと言ったりハクスレーと言ったり。

最近刊行されている他社の本も、アチャンが主流になっているようです。

しかしところで、『タイ・ミャンマー人物名鑑』を改訂して、ウェブで日本版ポータルサイトにできたらいいなという構想はひそかにありますが、海外の事例もあるように(たとえばシンガポールのサイトhttp://www.dhammadownload.com/index.htmとか、ダンマトークのサイトhttps://dharmaseed.org/teachers/とか)、こういうことはダーナ(布施)が筋なんだろうなと思い、なかなか会社の仕事にはなりにくい今日この頃です。

(編集・川島)

 

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