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イギリス アマラワティ僧院副僧院長「アチャン・ニャーナラトー師インタビュー」その1
8月10日サンガくらぶ開催記念
以下に、アチャン・ニャーナラトー師のインタビュー内容(2015年2月取材)を公開いたします。
2017年8月10日、東京での法話会開催が決定したニャーナラトー師ですが、タイの名僧アチャン・チャー師の直系の弟子として、イギリスにてテーラワーダ仏教の流布に尽力されていることは、日本ではほとんど知られていません。
そんなアチャン・ニャーナラトー師の魅力を、サンガ編集部がウェブニュースとしてお伝えしていきます。
アチャン・ニャーナラトー師は、京大医学部卒業後、世界放浪の果てにタイで出家し、現在はイギリスの大僧院アマラワティの副僧院長を務める日本人僧です。
メディアへの登場が少ないため、ライブの法話を聞くことができる機会はたいへん貴重。心に染み入ること必定です。
今回は師の来歴のわかる、サンガジャパン初登場のときの貴重なロングインタビューをご紹介していきます。
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イントロダクション
イギリスにあるアマラワティ僧院は、アチャン・チャー師の系列の僧院として建てられたもので、欧米のテーラワーダ仏教僧院の中心に位置づけられている。そのアマラワティ僧院の現在の副僧院長は、ニャーナラトー師という日本人である。ニャーナラトー師は56歳(2015年当時)。
京都大学医学部を出て、医師国家試験に合格しながらも、海外に放浪の旅に出てタイで出家をされ、以来30年近くを比丘として歩まれている。
師の存在は、ほとんど日本のメディアで紹介されることはないが、2012年には宗教学者の鎌田東二氏がアマラワティ僧院を訪ね、ニャーナラトー師との出会いを報告している。また、1989年には先輩僧であるアチャン・光男・カウェーサコー師とともに、成田空港から広島平和記念公園まで1000キロを托鉢をしながら行脚し、当時テレビにも取材されている。
世界の仏教を概観しつつ、日本仏教の未来を考える今回の特集にあたって、その半生と、西洋世界における上座仏教サンガの役割や意味などについて、お話をうかがった。
アマラワティ僧院のこと
――今回(2015年)のご帰国の目的はどのようなことでしょうか。
高齢となった母のもとを訪れるということが主な理由で、最近は年に1度日本に帰っています。とくに、昨年(2014年)秋より母は車椅子生活となり、そのサポートができたらと、今年(2015年)も1月から3ヶ月もどってきています。ただ、母は認知症もだんだん進行していて、介護の必要も高くなっています。
今日は、そのような介護の合間をみて出てきました。お声掛けいただいてありがとうございます。
――ご帰国されている間に、法話の会や、瞑想会を開催されるようなことはないのでしょうか。
日本にもどってくる時は、母と時間を過ごすことが目的でした。あえて自分のほうから会合を呼びかけたりとかはしていませんでした。伝統的に、仏教では、請われてはじめて教えを説くというのが普通ですし、今まであまり縁がなかったように思います。
このごろは、少しずつ法話など声をかけていただいたりしますが、介護の件があって、今現在は対応できていないのですが、ありがたくいただいた縁はできるだけ大切にしようと思っています。
それと、僕としては、こんな教えがありますよ、こうすべきですよ、というようには、こちらから持ちかけて押し付けるようにはしないというスタンスでいます。
でも、昨年(2014年)3月、はじめて、自分から会合に出向いたこともありました。縁があって、日本テーラワーダ仏教協会が発行してる『パティパダー』を、毎月イギリスに送っていただいているのですが、それを読んで私のいる奈良の近隣で、テーラワーダ仏教関係の催しや勉強会が開催されていることは知っていました。日本でテーラワーダ仏教をやられている方は本当にがんばっていらっしゃるけど、テーラワーダでの出家者の数は実に少ない。
こうしてたびたび帰ってきて、同じ関西にテーラワーダ仏教の比丘である私がいて何もしないというのは、なにか責任放棄のような気がしたのです。それで自分が一度顔を出すのが礼儀というか、何かしたほうがいいと思って、昨年はじめて、関西で開催されている勉強会に顔を出したんです。
ちょうど満月のウポーサタ(布薩の日)でした。そんなきっかけも背中を押してくれたかもしれないですね。
――イギリスのアマラワティ僧院の副僧院長をされておられますが、日本ではまだアマラワティ僧院のことを知らない人がほとんどです。ご紹介いただけますか。
アマラワティ僧院はテーラワーダ仏教の僧院としてイギリスの一番大きいセンターです。しかし、アチャン・チャー系列の最初のお寺ではありません。
チッタウィウェーカ(チットハースト)僧院というお寺が最初にできて、その5年後の1984年にスタートしました。アチャン・チャーの最初の西洋人の弟子であり、西洋のサンガのリーダーとも言うべきアチャン・スメードーが、最近、隠居するまで僧院長をつとめたこともあり、イギリスのみならず、欧米のテーラワーダ仏教において重要な役割を持つ僧院です。
1950年代の末に、テーラワーダ仏教のサンガを自国にも作ろうというイギリス人たちによって、イングリッシュ・サンガ・トラストという団体ができました。当初、西洋人を東南アジアの僧院に派遣して修行させていましたが、なかなかお坊さんが育たない。
じゃあ今度は、西洋人ですでにアジアのテーラワーダ仏教国で出家して、修行している僧侶に来てもらおうというアイディアになった。そして、ちょうどアチャン・チャーとアチャン・スメードーが欧州に行った時、宿泊先を探すなかでイングリッシュ・サンガ・トラストとの縁ができ、アチャン・スメードーに依頼がきたというのがそもそもの始まりです。
(つづく)その2
取材・構成:森竹ひろ子(コマメ)&サンガ編集部
本記事は、『サンガジャパン20号 特集「これからの仏教」』の転載です。
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