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2020.03.27

商品紹介 編集部

仏教ネタもある、知的愉悦の英語参考書のご紹介

 星飛雄馬さんとサンガの縁

星 飛雄馬さん

 星飛雄馬さんから1冊の本が届いたので、今回は、星飛雄馬さん本人と彼の新刊書籍について紹介します。
 サンガジャパンの創刊に編集者としてかかわっていただいて、藤田一照先生や鎌田實先生など多くの多くの執筆者を紹介していただきました。
またアチャン・チャー長老の存在を最初に教えてくれたのも星さん。東京都立大学大学院で宗教社会学を収めつつ、ミャンマーで瞑想修行をして、アビダンマの知識も身につけているというとても変わった経歴の持ち主。
ベーシックインカム論者でその関係の本もいち早くサンガから上梓していただいたり、哲学から経済、もちろん宗教に至るまで、幅広い確かな知識とバランスの取れた知見に、いろいろと助けられてきたのです。
 その星さんが今度は英語の参考書を上梓。

『【音声ダウンロード付き】「知」への英単語—-英語ゼミ形式で覚えるはじめての教養英単語』(テイエス企画、2020年3月)

 翻訳のプロである星さんの本領発揮というべきか、豊かな教養を反映して、現代に対してとても感度の高い内容で素晴らしい一冊です。
 その星さんに、ブログを書いていただきました。どうぞお読みください。
(編集部)

* * * *

テーラワーダ仏教、ティク・ナット・ハンとの出会い

 今から二〇年ほど前のことです。
 当時、私はスマナサーラ長老の著書をきっかけとして、テーラワーダ仏教に関心を持つようになりました。やがて長老の法話会にも通うようになり、日本テーラワーダ仏教協会の会員にもなりましたが、より深く仏教を知りたいという気持ちは止みません。私は早速、日本語で読めるテーラワーダの本を探してみることにしました。
 ところが、当時日本では、スマナサーラ長老の著作を除くと、テーラワーダ仏教の本はほとんどありませんでした。どうしたことかと途方に暮れてネットを見ていると、海外では随分とたくさんテーラワーダ仏教の本が出版されているようです。十代の頃アメリカで生活していたこともあり、英語への苦手意識のなかった私は、さっそくamazonで、英語で書かれたテーラワーダ仏教の本を探して読んでみることにしました。
 そうして、グナラタナ長老、アチャン・チャー、マハーシ・サヤドーなど、多くのテーラワーダの長老の本に出会いました。テーラワーダではなく、ベトナム仏教の僧侶ですが、ティク・ナット・ハンの本にも大いに親しみました。英語が読めれば、たくさんの仏教書が読めるのだなと痛感したものです。
 そのようにして出会った本の中で、最も印象に残った本が、ティク・ナット・ハンの『Present Moment, Wonderful Moment』です。ぜひこの本を訳し、日本の読者にも紹介したいと思い、出版する当てはありませんでしたが、翻訳してみることにしました。翻訳が完成した後、日本テーラワーダ仏教協会編集局長の佐藤哲朗さんにこのことを相談してみると、出版社としてサンガを紹介してくださいました。その縁によって『Present Moment, Wonderful Moment』の出版が叶い、現在に至ります。

 

現代人に必須の教養を英語で学べる一冊

 

 スマートフォンの普及によって、私たちは現在、24時間大量の情報に触れることができます。特にSNSは、その登場以前と比べ、私たちの生活を大きく変容させています。
 ですがその一方で、情報の洪水は私たちの生活に大きな弊害をもたらすものでもあります。大量の情報の中には、真偽の疑わしいものや、悪質なデマなども含まれているのです。
 情報の洪水の中から、正しい情報と間違った情報を見分けるためには、それらを判断するための「メディア・リテラシー」の力が必要です。本書では、英語を学ぶと同時に、現代人として生きる上で必須の教養も学べるように工夫が凝らされています。
 全体の構成は、「経済」「政治と法」「社会」「国際関係」「宗教と歴史」「科学と技術」の全6章からなります。

 

 第一章の「経済」では主に、金融政策、財政政策といった、マクロ経済政策の基礎を学びます。
 第二章の「政治と法」では主に、憲法や平和安保法制をテーマにしています。
 第三章の「社会」では主に、貧困やLGBTといった問題について学びます。
 第四章の「国際関係」では主に、イスラーム国や中国の習近平体制が話題となります。
 第五章の「宗教と歴史」では、ユダヤ教、キリスト教、イスラーム教、仏教といった、世界の主要な宗教を扱います。
 そして、最終章である第六章の「科学と技術」では主に、ニセ科学や反ワクチン運動の問題点について考察しています。

 

 また、各章ごとに詳細な読書案内を収録。関連図書も含め、各章で取り上げられたトピックをより深く学ぶためのガイドとなっております。
 本書の原稿の多くは昨年以前に執筆されたものですが、現在新型コロナウィルスの問題で話題になっている、岩田健太郎氏や村中璃子氏も登場しています。
 本書の中で登場人物たちが交わしている内容は、一つの物の見方を示したものであり、必ずしも正解というわけではありません。
 本書を手に取ってくださった皆さん一人ひとりが、この教材を素材として、自分自身の教養を深めていってくだされば、著者として幸いに思います。

星飛雄馬

 

プロフィール

星 飛雄馬(ほし・ひゅうま)
1974年、長野県生まれ。著述家・翻訳家。東京都立大学大学院社会科学研究科修士課程修了。東京大学社会情報研究所教育部修了。修士(社会学)(東京都立大学、2001年)。専門は宗教社会学、社会政策。東方学院にてパーリ語を学ぶ。著書に『45分でわかる!数字で学ぶ仏教語。』(マガジンハウス)、『やさしいベーシック・インカム』(サンガ)、訳書にアーチャン・チャー『[増補版]手放す生き方』、マハーシ・サヤドー『ヴィパッサナー瞑想』(以上、サンガ)などがある。

 

星飛雄馬さんの執筆書籍または翻訳書一覧