編集部
求道者・佐々井秀嶺師に魅せられて
「佐々井秀嶺師に魅せられて」小林三旅
今回は、フジテレビ深夜のドキュメンタリー番組「NONFIX男一代菩薩道~インド仏教の頂点に立つ男~」
をディレクターとして担当した、映像作家・小林三旅さんからの寄稿です。
小林さんは、佐々井師の番組撮影以降、年に3~4回インドを訪問し、訪印歴は30回以上。
佐々井師の記録をライフワークに掲げる、ジャーナリストでもあります。
佐々井師を最も知る男・小林三旅による最新インドレポート、どうぞご覧ください。
9月28日大改修式始まる
小林三旅です。
佐々井秀嶺の取材のために、ナグプールに来ました。
9月の28, 29, 30日の3日間、インド仏教最大のイベント「大改宗記念式典」が開催されます。
私はナグプールでは、「バンテージ」(佐々井師の通称、ヒンディー語で「先生」の意)の居住する、インドラ寺に泊まらせてもらっています。
今日、目覚めると知らない男が枕元に座っていました。声をあげて飛び起きました。
「お前は誰だ!」
「わからない」
「なにしてるんだ!」
「なにもしていない」
「ここは私の部屋だ!」
「わかってる、私はなにもかもわかってる」
ついに私にも、バンテージが見た龍樹のような何かが出て来たのかと思いましたが、ジーパンをはいた小太りのおじさんだったので、すぐに追い出しました。
バンテージは改宗式の総監督、総責任者になっているので、この数日は準備や会議のためあちこち忙しく回っています。
9月22日に、今年就任したばかりの新大統領ゴヴィンド大統領が、アンベードカルのお舎利が納められている改宗記念ドームを参拝し、その案内と法要の導師をバンテージが務められました。
不可触民階級出身の大統領にとって、ここを参拝されるのは念願だったそうです。
インドの大統領は権限は大きくないですが、毎回、インド人に親しみをもたれるような苦労人、人格者が就任するのが特徴です。
その少し前には、モディ首相が改宗記念ドームを参拝されました。
この時もバンテージが導師をしました。その際、モディから「私はよく日本に行くんですよ」と話しかけられたそうです。
その直後、側近から
「マイノリティコミッションの仏教代表の選考に困ってる、もう一度やらないか?」
と声をかけられたとか。(うろ覚え)
バンテージ曰く、モディはただの右翼ではなく、一癖ありそうなやつだ(いい意味で)とおっしゃっていました。
モディも良い階層の出身ではないです。インドの将来を、政治家として大局的に見ているとこがあるのでしょう。
こんなふうに、相次いでインドのトップが参拝に来るのは、アンベードカルと仏教徒の存在が政治的、社会的に大きくなったからに間違いありません。
(小林三旅)
佐々井秀嶺師に関する最新情報は、
フェイスブックページ「佐々井秀嶺資料室」で更新しています。
『求道者―愛と憎しみのインド―』
今回レポートいただいた小林三旅さん編集協力の佐々井秀嶺師の著作『求道者』についてご紹介します。
本書は、「インド仏教一億人を率いて、インドを変えた男 佐々井秀嶺最後の、そして復活の言葉」です。
目次
第1章 差別の地――インドで仏教の地歩を築く
- 不可触民の渦中へ
- インドの人々とともに生きる仏僧として
- 龍樹に導かれて
- 1968年ナグプールに来たる
- 1つのカーストに1つのお寺が
- 毎日お勤めする読誦経典を編集する
- 寺に来る出家希望者
- 結婚式で稼ぐ坊主
- 志ある人々
- 信頼のおけるやつダンマボディ
- 坊主から市長になったシーラナンダ
- 次世代を担う仏教徒を育てる
- 三人の沙弥
第2章 インドの宗教と政治に対峙する
- 潜在する差別
- 形式だけの政教分離
- マイノリティコミュッションメンバーへの誘い
- アンベードカルの意志を継ぐ行動とは
- マヤワティ首相という人物
- 盟友カンシ・ラムの謎の死
- なぜ私がマイノリティコミュッションメンバーに指名されたのか
- マイノリティコミュッションとしての私の目的――大菩薩寺奪還
第3章 龍樹菩薩の地を探して
- 龍樹菩薩の地マンセル
- 龍樹の伝説
- マンセル遺跡の発掘
- 侵略に対して人を守るアンベードカルの不殺生戒
- インド仏教に関心を持たないダライ・ラマ十四世
- 私に面会を求めてきたダライ・ラマ
第4章 インド民衆とともに生きる
- インドの食生活
- インド人は酒癖が悪い
- インドで病気になる
- インドで毒を盛られる
- 断食で死にかける
- 断食を完遂した私を祝福してくれた仏教徒たち
- 「ジャイビーム」を発した瞬間
- 私の説法術
- 改宗式を始める
- 仏教式の結婚式
- 異教徒間の結婚
- インドの虚無、死の観念
- 煩悩強き女
- 法華経の祈祷水
第5章 南天一乗の仏教を生きる
- 「空」にも命がある
- 命により成り立つ縁起の法
- ブッダ入滅の年に至る
- 私は、のたれ死にたいのです。
- 2014年7月、病に倒れる
- インドの悲しみ
- インドは仏教国になる
- 私の中には信念の鉄塔が入っている
インドへ渡って約50年、本書を刊行した2015年も、2017年現在も、佐々井師の熱き志は変わりません。
佐々井師に関心を持たれた方は是非、『求道者』ご一読ください。
(マーケティング部 五十嵐)