社長ブログ(ほぼ毎週金曜日更新)
鎌倉03
その日の鎌倉は
快晴で、蒸し暑いぐらいだった。久しぶりの江ノ電は、そのままディズニーランドに持っていっても使えそうなぐらい、カラフルなデザインになっていた。
この一行を村上春樹風と社員に言われて、僕はいきなり書けなくなっている。でも他人のせいにしてはいけない。鎌倉03を終わらせないと、「お前はまだダンマを知らない」を始められない。
江ノ電の中では、アジア系の7~8人のグループが、大声でポルトガル語(多分・・あとで川島がそう言っていた)を喋っていた。そのリーダー格が、必死に虫を殺そうとしていた。
僕は「頼む逃げてくれ!」と心の中で念じていた。人は何のためらいもなく、生命を奪うことがある。
一法庵で
結局、虫は無事に逃げていった。江ノ電は僕らを乗せてゆっくりと走り続け、稲村ケ崎の駅に着いた。
山下良道さんの「一法庵」は、歩いてすぐの海のそばにある。
鎌倉の海は男性的だ。広い海岸線に人工的な匂いがなく、自然なたたずまいを見せている。
以前、小池龍之介さんに会ったのもここだし、藤田一照さんともやっぱりここで会った。
良道さんは、いつものように暖かく僕たちを迎えてくれた。
彼は昔からものごとを熱く語る人物だが、この日もやはり、挨拶もそこそこに話が始まった。
陽性の表情を浮かべた彼の口元から、よどみなく言葉が溢れ出してくる。
ミャンマーでの修業時代。日本に帰ってから今に至るまで。ミャンマーの修行僧や修行のスタイル。彼の中の心境の変化。彼にとっての仏教とは、そして悟りとは。
彼の言葉を聞きながら、もし僕が出家していたら、もしくはこれから出家したら、なんてことが頭をよぎっていた。
同時に、やはり僧は僧で、俗は俗なんだとも思った。ブッダがなぜ、そしてティク・ナット・ハンがなぜサンガの重要性を説いたのかが、何となくわかったような気がした。
良道さんは最後に、「島影さんと会ってちょうど20年になる。今度の本は、その記念碑的なものにしましょう」と言ってくれた。
その言葉に、僕は100%賛同した。僕たちは同じ仏教徒だが、それぞれの仕事があるのだ。
一法庵を出ると、青空が広がっていた。そこに佐々井秀嶺師の本拠・ナグプールの空のように、大きな五色の仏旗がはためいていればいいのにと思った。
帰り道、一匹の蟹が道端にいた。この蟹も僕たちも、山下さんも、小池さんも、藤田さんも、同じ巨大な仏旗の下にいるのかもしれない。