私は仏教の風景をテーマにして四国お遍路を初め霊場巡りの旅をカメラで追っていました。
それが2000年11月にミャンマーを訪れ、そこで庶民の生活の中に活きている仏教に出会ったことで、
「この仏教はどこから伝来したのか」「インドからお釈迦様が直接ミャンマーに伝えられたのかな?」
などと想像するようになりました。
ミャンマーの仏教はスリランカから伝えられたと聞き、この史実を確かめたくて、2006年12月、スリランカへ向かいました。内戦の激しいときでしたが、キャンディ仏歯寺で熱心に参拝する人々の姿を目の当たりにし、この一途な姿に心を打たれその仏教的背景に引き付けられました。
2008年慶應義塾創立150年を記念して資料展が開かれ、その中で福澤諭吉の西航記を目にしました。
1861年から約1年幕府の遣欧使節団の一行として海路でヨーロッパを訪問したときの日記です。スリランカ(セイロン)のゴールに寄港した様子が記され、1862年12月に復路でゴールに寄港し「多くの仏法の僧徒に逢う」との一文が目にとまりました。
西航記ではこの一文だけでしたが、後に故郷の中津でこのセイロン僧について「余程の高徳と思われました」「何となく随喜の思いがしました」と語っていました。
福澤をして「随喜の思いがした」との印象を与えた僧についてその仏教的背景に興味を持ちました。
このような折りに2008年8月、スリランカ航空の機内でスマナサーラ長老と同席する幸運に恵まれました。
初対面で何の知識も面識も無く「日本語がお上手ですね」と話しかけ、長老からは「30年近く日本に住んでいますから」と流暢な日本語で答えられ名刺交換したことを覚えています。
この時の長老が私にとって「余程の高徳」であり、私が「随喜の思い」を抱いたのです。
2009年11月、サンガ社主催の「長老ご先導のインド仏蹟の旅」に参加しました。
インド仏蹟に囲まれた長老は五光を放つかの如く一心不乱に読経され、そこで仏説を熱く説かれました。
カメラで長老を追いながら仏教の世界へ誘われていきました。
「お釈迦様がこの世(生、老、病、死)が苦であると説かれました。これが真理ですよ」「貧、愼、痴が苦の原因です」と長老が熱心に解説されましたが
とても理解不足で、消化不良の日々を過ごしました。
それでも長老の著書を読み、お釈迦様の説法の解説や冥想法に惹かれ、実況中継を絶やさないようにとの実践指導を受けたりして、今日に至っています。
1988年4月 東大寺長老清水公照師の先導による四国お遍路に参加して参拝風景をカメラに納める旅が始まりました。
88の霊場をバスで春秋と3年をかけて巡り、高野山に御礼参り、その後西国、坂東、秩父と巡拝の旅を続けました。
この間、日本の仏教のルーツを辿って韓国、中国、そして海渡りの仏教の道を歩み、東大寺の修二会(お水取)にも聴聞の機会を得ました。
2000年11月からミャンマーの仏教風景を撮り始めました。
そこでミャンマーの家族や社会が仏教を中心として成り立っていることを目にして胸を打たれ、数次度々の訪問となりました。
この間、カメラの視線は仏教風景を念頭に置いてインド・ネパール・カンボジアなどへも向いていました。
写真集慕咲は、「アジア・祈りの情景」としてミャンマー、スリランカを中心に仏教をはじめ、ヒンズー教、キリスト教などに目を向けるとともに、さらにネパール、インドの仏跡から日本へと仏教伝来の流れをもう一つのテーマにまとめました。
「咲」26、27頁
次回は、実際の写真を交えて、『写真集慕咲』をどのような意図をもって、撮影したのか解説します。
(つづきます)
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