サンガジャパン Vol.15(2013Autumn)
通常価格:¥ 1,980 税込
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加算ポイント:18pt
商品コード: 200590
発売日:2013年9月30日
寄稿:アルボムッレ・スマナサーラ・プラユキ・ナラテボー,松尾剛次,島田裕巳,佐々井秀嶺,ティク・ナット・ハン
ISBN:9784905425595 C0015
A5判くるみ 本文294ページ
特集:戒律
「戒律」という言葉を聞いたとき、日本人の多くは何を思い浮かべるだろうか? 本誌の読者は初期仏教に関心を持っている方が多いだろうから、「戒律」と聞けば仏教における在家の五戒や、比丘の二百二十七の戒律を想起するかもしれない。けれども、戒律の要素の薄い日本仏教や神道に親しんでいる日本人の多くにとっては、戒律とは自分にとって縁のない、何か一部の特殊な人々が行っている行のようなものとして映っているのではないだろうか。これは世界の仏教から見るとむしろ特殊なことであり、日本以外の地域での仏教は、戒律にのっとった生活をしている。そこに上座部と大乗の違いはない。 改めて考えてみるなら、世界の各宗教における戒律は千差万別である。ならば、それらがどのようにして生まれ、各宗教においてどのような意味を持つのかについて理解をすることは、世界の仏教徒が当たり前のものとして護持している五戒などの戒について理解を深めることにも役に立つのではないだろうか。そのように考え、今回の特集を企画した。 日本人にとってなじみの薄い戒律というものを知るにあたって、まず大きな枠組みを理解するのに役立つのが、島田裕巳氏による「戒律の宗教と法の宗教」である。島田氏は世界の宗教を、仏教やキリスト教(カトリック、東方教会)といった「戒律の宗教」と、ユダヤ教やイスラム教といった「法の宗教」の二つに分類する。聖なる世界と俗なる世界に対するとらえ方の違いから、このように世界宗教を二分して考えることは、私たちが戒律というものを通じて宗教を理解する上で、大いに助けとなることであろう。 島田氏の分類に従えば、仏教は「戒律の宗教」ということになるが、多くの日本人にとって戒律は身近なものではないだろう。それはなぜか? 松尾剛次氏の「日本における戒律」を読めば、その理由がわかる。松尾氏は日本仏教における持戒の歴史を語る中で、日本仏教では戒律が軽視されてきた伝統があることを語る。では、日本仏教の歴史とは堕落の歴史だったのだろうか? そうではない。日本にも鎌倉時代には叡尊、忍性等がいて、江戸時代には慈雲尊者が戒律復興運動を試み、多くの人々がそれに共感し、戒律護持を実践したのである。本論考を読めば、日本仏教が戒律軽視であるというのは一面的な理解であることがわかるであろう。 こうした戒律の歴史に対する理解を踏まえた上で、私たちはそれを日常生活にどう活かせばよいのだろうか。そのような疑問に明確なアドバイスを与えてくれるのが、ティク・ナット・ハン師による「五つのマインドフルネス・トレーニング(五戒)を実践すればうつ病も治せる」である。ティク・ナット・ハン師は仏教の伝統的な五戒を、現代生活に適応した五つのマインドフルネス・トレーニングとして再解釈し、私たちに実践を促す。わかりやすく、毎日の社会生活を送りながらでも実践できるトレーニングだ。 プラユキ・ナラテボー師による「戒律に守られて生きる」もティク・ナット・ハン師と同様に、伝統的なテーラワーダ仏教の戒律を、行動療法などの現代的な観点から再考察している。プラユキ師の明晰な解説には、「戒律」といった言葉から想起されがちな迷信的な要素や、道徳的な押しつけは微塵もなく、なぜ戒を守ることが私たちの生活にとって有用なのかがよくわかるようになっている。 そうして、こうした論考を読んだ上で、読者が実際に戒を守ろうとした際に生じるであろうさまざまな疑問に対するアドバイスを集めたものがアルボムッレ・スマナサーラ長老による「ブッダが説いた『五戒』の真意」である。Q&A形式でわかりやすく述べられた本稿を読めば、実践上の疑問もたちまち氷解するだろう。 その他にも、石飛道子氏による「五戒の考察」など、必読の記事から本特集は成っている。本特集によって仏教の戒律の合理性と実践性が明らかになったのではないだろうか。戒の実践に踏み出す契機になったとしたらそれもまたよしである。(編集部)
特集:戒律
目次
特集 戒律
- ブッダが説いた「五戒」の真意 アルボムッレ・スマナサーラ
- 戒律に守られ、自由に生きる プラユキ・ナラテボー
- 戒律の宗教と法の宗教 島田裕巳
-
不殺生戒 こそが仏教の根本。 佐々井秀嶺 - 五つのマインドフルネス・トレーニング(五戒)を実践すればうつ病も直せる ティク・ナット・ハン
- 日本における戒律 松尾剛次
- ミャンマーで「ティラシン(戒の人)」になりました 天野和公
- 五戒の考察 石飛道子
- インタビュー イスラムが席巻する東南アジアの現実と仏教の戒律。 G.K.アーナンダ・クマラセリ
- 執筆者一覧
- 編集後記
田口ランディ対話シリーズ 仏教のコスモロジーを探して-チベット密教修行と慈悲の行方 第五回:佐藤剛裕
新連載第一回 心物問題の形而上学に向けて-「心霊研究」から「超心理学」へ
『自由への旅』をめぐって 魚川祐司
連載第十四回 パーリ三蔵読破への道-「主権者」は誰か?―仏教徒の政治参加を考えるー 佐藤哲郎
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