サンガジャパン Vol.17(2014Spring)
通常価格:¥ 1,980 税込
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商品コード: 200900
発売日:2014年4月7日
寄稿:橋爪大三郎×大澤真幸,ティク・ナット・ハン(釈一行),石飛道子,マーク・エスプタイン,永井均×香山リカ,立川武蔵,蛭川立,藤本晃
ISBN:9784905425908 C0015
A5判くるみ 本文323ページ
特集:仏教とキリスト教
サンガジャパンは「仏教のリアルを探す総合誌」として創刊し、さまざまな特集に挑戦してきた。第9号『上座仏教と大乗仏教』では仏教内部にある二つの流れの考察、第14号『仏教と神道』で日本人にとって身近な宗教「神道」との比較を試みた。 そして今回、世界で最大の宗教人口をほこり、現代社会システムで力を持つ西洋文明の根幹にある「キリスト教」を「仏教」と比較することにした。 約二五〇〇年前、仏教は釈迦によって説かれ、それから約五〇〇年後、イエス・キリストによってキリスト教は誕生した。 そもそもどこが共通点であり相違点なのだろうか。橋爪大三郎氏、大澤真幸氏による対談『ブッダはキリストと何が違うのか?』では、まず二宗教の開祖について検証する。共通点として「ブッダとキリストともに、ふつうの人間を越えた状態である」ということ、また相違点として「ブッダは本質として人間である/キリストは本質において神である」ということが挙げられる。 話題は開祖二人の比較から、徐々に二つの宗教が持つ構造の違いへ移行してゆく。「自己努力によって覚りを目指す仏教」と、「神に依存して、神に依り頼んで救ってもらうというキリスト教」というベクトルの違いに関する説明は、宗教を外側から観察する社会学者ならではの目線であり、読者が仏教を再考するためにおおいに役立つだろう。 外側からの目線とは反対に、仏教の内側からの目線による寄稿がティク・ナット・ハン師による『神の国は今ここに』である。ティク・ナット・ハン師はフランスで仏教共同体・プラムヴィレッジを設立し、キリスト教文化圏の中においても支持されながら、仏法を説き続けてきた。ティク・ナット・ハン師は、本文で次のように述べる。 「真の幸せを知る仏教徒は同時にキリスト教徒であり、真の幸せを知るキリスト教徒は同時に仏教徒であると私は信じています」 仏法の真理があるならば、そこに宗教は関係ない。幾多の宗教者と対話しマインドフルネスを広めてきた師による重みのある言葉である。 続いて、二つの宗教に通じる重要なテーマ「愛」について石飛道子氏が論じている。同じ言葉であっても意味は定義される世界によって異なる。そして、本稿では二つの「愛」の違いを分析しながらも、その根底に流れる共通項を見出そうとも試みている。 特集の最後は精神分析家・瞑想家・医学博士という三つの肩書を持つ専門家マーク・エプスタイン氏へのインタビューである。彼は著書『ブッダのサイコセラピー』の中で、キリスト教を背景に発展した西洋心理学と仏教との融合へ果敢に挑戦している。彼の住むアメリカの仏教事情についてインタビューしてみた。そこにはテーラワーダ仏教をベースに大乗仏教を学び、生活・医療・能力向上に活かすというアメリカという移民の国だからこそできた新しい仏教があるという。 「仏教」と「キリスト教」、どちらが優れているのかという比較は意味をなさないだろう。日本は第二次世界大戦以降、キリスト教を根底に持つ西洋文明が加速度をつけて浸透し、経済発展をしたとされるだろう。しかし、人口は減少し出し、経済は後ずさりを始めている。世の中は無常だ。世界を生き抜く智慧が仏教には存在する。 新しい時代の手がかりとなる一冊として、本特集を読んでいただきたい。(編集部)
目次
特集 仏教とキリスト教
- 対談-ブッダはキリストと何が違うのか? 橋爪大三郎×大澤真幸
- 神の国は今ここに THE KINGDOM OF THE PRESENT MOMENT ティク・ナット・ハン(釈一行)
- 「隣人愛」と「愛しいもの」 石飛道子
- インタビュー 『ブッダのサイコセラピー』の著者に聞く、アメリカ仏教の現在形 マーク・エプスタイン
- サンガくらぶ活動報告
- 執筆者一覧
- お知らせ
- 編集後記
特別対談 ヴィパッサナー瞑想を哲学する 永井均×香山リカ
最終回 田口ランディ対話シリーズ 仏教のコスモロジーを探して-宗教―憑依ーシャーマニズム 立川武蔵
連載第三回 心物問題の形而下学に向けて-「東洋」は「近代の超克」を可能にするか 蛭川立
「悟り」は証明できるのか? 石飛道子
連載第二回 日本仏教は仏教なのか?-パーリ聖典が釈尊の直説 藤本晃
海外ブックレビュー 活躍するアメリカの女性仏教者 松本太郎
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