シーマー(戒壇)建物・シェーダゴンパゴダ形仏塔建立プロジェクト
~鹿島の地に灯る智慧の光~
その②
前回は(1)シーマー(戒壇)が、比丘サンガが存在するために必要不可欠な神聖な場所であること、(2)シーマー(戒壇)建物・シェーダゴンパゴダ形仏塔建立プロジェクトが始まった経緯、(3)プロジェクトの三つの計画についてお話ししました。今回は、プロジェクトの第一番目の計画、シーマー(戒壇)と仏塔を建てる土地を片付け、その土地と周りの土地を平らにする、という計画の実際の流れ、そして二番目の計画「ミャンマーから比丘サンガを日本に招待してその場所(土地)をシーマー(戒壇)と決める」の準備についてお知らせします(上座仏教修道会、マッジマ パティパダー通信より引用)。
シーマー(戒壇)・仏塔はカリアナミッタハウス(善友の建物)という建物が建っている場所に建立することになりました。それは創立者の竹田倫子先生のご令妹が土地と建物を購入して上座仏教修道会に布施されたものです。2000年10月2日以来、淨心庵在住修行者の住居及び瞑想者の宿泊施設として使用してきました。カリアナミッタハウスは、淨心庵精舎の中心部にあり、仏塔建立のために最もふさわしい場所であることをニャーヌッタラ大長老は智慧でご覧になられ、その土地、建物に慈悲を念じて来られました。そしてその建物の老朽化など色々な原因が揃い、その場所をシーマー(戒壇)・仏塔建立予定地としてお決めになられました。
2017年4月17日(月)、カリアナミッタハウス解体前の法要儀式が行われました。まず、故竹田倫子先生とご令妹が今回のプロジェクトに関連して積まれた大きな功徳について、ニャーヌッタラ大長老からお話がありました。お二人とも生前から、淨心庵精舎内にシーマー(戒壇)・仏塔建立を心から願っておられ、お釈迦さまの教えを伝えるために、全ての財産を布施され亡くなられました。「お二人の功徳は、はるかに高い功徳であり、亡くなられた後も、この功徳のエネルギーが増大して、善い結果をもたらします。」との説明がありました。
次いで、大長老は「その土地・建物が、末永く淨らかで危険が無いように、この土地に住む生きとし生けるもの、神々をはじめとして、工事に携わるすべての人々に危険がないように、幸せでありますように。この土地・建物の上で、お釈迦さまの教えが永く存在できますように。」と唱えられました。そして慈経と護経、厄除けの経を唱えられました。
ニャーヌッタラ大長老が日本語で執筆された「テーラワーダ仏教が伝える慈経」
その後、参加者全員で「メッタを送る11の言葉(下記)」を唱和しました。
・すべての生きとし生けるものは健やかであり、危険がなく、心安らかに幸せでありますように。
・怒りがあるものも、怒りがないものも、健やかであり、危険がなく、心安らかに幸せでありますように。
・見たことのあるものも、見たことのないものも、健やかであり、危険がなく、心安らかに幸せでありますように。
・遠くに住んでいるものも、近くに住んでいるものも、健やかであり、危険がなく、心安らかに幸せでありますように。
・生涯が生じなくなった阿羅漢も、これから生涯が生じるすべての生きとし生けるものは健やかであり、危険がなく、心安らかに幸せでありますように。
・身体の長いものも、身体の短いものも、身体の中くらいのものも、健やかであり、危険がなく、心安らかに幸せでありますように。
・身体の大きいものも、身体の小さいものも、身体の中くらいのものも、健やかであり、危険がなく、心安らかに幸せでありますように。
・身体の太っているものも、身体の痩せているものも、身体の中くらいのものも、健やかであり、危険がなく、心安らかに幸せでありますように。
・誰でも他の人を欺くことがないように、誰でも他の人を軽蔑することがないように、身体の行為、口の行為で人々をいじめたり、怒りの心で人々の苦しみを望むことがなうように。
そして、この日に積んだ功徳を、この土地・建物に関係がある神々を始めとした、全ての生きとし生けるものへ回向しました(下記)
今日行われたこの功徳によって涅槃へ真っすぐに向かうことが出来ますように。諸々の命に転生しても全ての危険、悪に出会うことなく、幸福が得られますように。そしてこの功徳を親たち、恩師、親戚、先祖、恩ある人々、神々を始めとして、下は苦界まで残りがないように、一切の生きとし生けるものに回向いたします。この功徳によってすべての生きとし生けるものが幸せに生きられますように回向いたします。
回向、回向、回向
また他の人々の功徳の回向を自分も受け、ともに喜び、サードゥ、サードゥと言いましょう。
サードゥ、サードゥ、サードゥ
最後に大長老によって、三宝のエネルギーの入った聖水が土地・建物に撒かれ儀式は終了しました。
土地・建物に三宝のエネルギーの入った聖水を撒くニャーヌッタラ大長老
(中央がカリアナミッタハウス)
解体工事は2017年4月19日(水)に始まりました。そして4月25日(火)には、全て更地となりました。シーマー(戒壇)建物・シェーダゴンパゴダ形仏塔建立プロジェクト3つの計画の1番目、「シーマー(戒壇)と仏塔を建てる土地を片付け、カリアナミッタハウスを解体して、その土地と周りの土地を平らにする」計画が無事に修了しました。シーマー(戒壇)認定儀式に向けてシーマー(戒壇)の土地を整える作業はその後も続きました。淨心庵を訪れる参拝者は特別に用意した木片や一般の道具を用いて手作業で土地を平らにしていきました。比丘サンガはシーマー(戒壇)認定儀式に先立ち、その土地の上に座りお経を唱えます。比丘サンガの安楽を目的としたこの作業は大きな功徳が得られとされており、多くの参拝者がこぞって参加し、土地を整えました。以下はニャーヌッタラ大長老からの説明です。
「シーマー(戒壇)を認定する儀式の前に、1週間カンマ ワーチャー(羯磨儀軌)という特別なお経が唱えられます。比丘サンガがこの土地の上に座り、安楽にお経を唱えることが出来るように、この土地の石やゴミを取り除き、凹凸を無くして平らにするとき、特別な功徳を得ます。」
シーマー(戒壇)認定儀式に向けてシーマー(戒壇)の土地を整える作業
シーマー(戒壇)建物、シェーダゴンパゴダ形仏塔建立予定地
2017年5月3日(水)、午前7時30分から始まる朝の礼拝の際に、ニャーヌッタラ大長老のご先導で、戒壇領域の結界内が「聖地になるための儀式」が執り行われました。この日はゴールデンウィーク10日間宿泊瞑想会の6日目で、新月から8日目(上弦)のウポサタ(布薩)の日にあたります。大長老の大きな慈悲で唱えられた慈経は、淨心庵精舎全体に響き渡り、戒壇領域内の土地の地下、地中、地上に染み入り、聖地として淨められました。そしてこのシーマー(戒壇)となる土地に関係がある神々をはじめとした全ての生命に大きな慈悲が注がれました。次いで、その土地の上で参加者が大長老より戒を授かり、慈悲の瞑想、ヴィパッサナー瞑想を行って、自分たちが積んだ功徳を回向しました。最後に「ブッダ サーサナン チーラン ティッタトゥ(お釈迦さまの教えが永く存在しますように)」というパーリ偈文を唱和して、参加者一同喜びの心に満たされました。
戒壇領域の結界内が「聖地になるための儀式」
シーマー(戒壇)建物・仏塔建立予定地に三宝のエネルギーが入った聖水を撒くニャーヌッタラ大長老
シーマー(戒壇)の領域の境界には結界石が設置されます。会員有志と石材店の間で綿密に打ち合わせを重ねた結果、茨城県産の稲田石を用いて作成することになりました。結界石に彫り込む上座仏教修道会のロゴマークや文字について、更なる検討を重ね、最終的に2017年10月15日に、外結界石8本(1本約68kg、高さ85cm)、内結界石8本(1本約40kg、高さ73cm)、計16本を納入していただくことになりました。
シーマー(戒壇)の領域の境界に設置される結界石
2017年7月5日(水)、シーマー(戒壇)敷地内の配管やガレキの撤去、及びシーマー(戒壇)敷地外に井戸水の配管設備工事が始まり、3日間で完了しました。
配管やガレキの撤去、および井戸水の配管設備工事
プロジェクトの実現に向けて国内外の心ある方々から既に多くの布施をいただいておりますが、東京オリンピック開催の影響で建築費が高騰しており、まだ十分とは言えない状況です。そこで資金面の強化のため3月1日から約2か月の予定でクラウドファンディング(インターネットを介した支援募集)を立ちあげることになりました。詳細は下記のリンクをご覧ください。
プロジェクト
クラウドファンディング申し込み先
https://readyfor.jp/projects/jpagoda
また通常のお布施も受け付けております。
http://jyouzabukkyo.jp/sima/ofuse/
お釈迦さまの教えが無くならないように、比丘サンガが栄えるように行う支援は大きな功徳になり、将来に渡って幸福をもたらすと信じられています。多くの方が滅多にないこの機会にプロジェクトにご参加いただき、得難い功徳を積んでいただきたいと思います。
https://www.facebook.com/日本上座仏教修道会-Japan-Theravada-Buddha-Sasana-Bhavana-Group-285429038726826/
影山幸雄(かげやま・ゆきお)
1960年、栃木県生まれ。東京医科歯科大学卒。医師。翻訳家。
訳書にリック・ハンソン『脳を鍛えてブッダになる52の方法』、チャンミェ・サヤドー『気づきの瞑想実践ガイド』、ミャンマー連邦共和国宗教省『テーラワーダ仏教ハンドブック ブッダの教え 基礎レベル』(以上、サンガ)ほか。